アイピルってどんなアフターピル?ノルレボとの違いは?
アイピルは緊急避妊薬。避妊に失敗したときの最終手段
アイピルは、「緊急避妊薬」のひとつです。アフターピルやモーニングピルとも呼ばれます。ピルは、錠剤のことですが、慣例的に、ピルといえば「経口避妊薬」で、避妊するための飲み薬です。ピルは低用量ピルとアフターピルの2種類が主に使われています。前者の低用量ピルは、少しずつ成分を身体に取り入れることで、妊娠を避ける方法です。一方、アフターピルは、避妊に失敗した際に、妊娠を避ける為に服用します。
経口避妊薬によって、女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)を身体に取り入れます。これによって、女性の身体が妊娠している状態するのです。妊娠中は新たな妊娠が起こらない状態になるため、これが避妊に繋がります。ただし、ホルモンは、過度に取り入れると身体が不調になる原因になります。
その問題を解決したのが低用量ピルです。
低用量ピルでは、含まれる女性ホルモンの量が少なく、身体に悪影響が出ません。さらに、避妊効果が期待できる量が含まれているのです。ただし、連続で服用する必要があります。
一方で、緊急経口避妊薬は、服用後に妊娠を阻止するために、女性ホルモンが多く含まれています。このため、うまく妊娠を阻止することができれば、身体に与える影響を最小限にできます。ただし、ホルモン含有量が多いことから、低用量ピルよりも多いため、副作用が出やすい傾向があります。
アイピルの場合には、レボノルゲストレルが含まれています。
レボノルゲストレルは、黄体ホルモンであり黄体ホルモン薬に分類されるものです。レボノルゲストレルを使った緊急経口避妊薬としては、アイピルの他にノルレボがあります。ノルレボが先発品で、アイピルが後発品、つまりジェネリックに当たります。ジェネリックとは言え、含まれる成分は同じです。したがって、アイピルとノルレボは、同じ効果を発揮するものです。
アイピルを製造販売しているのは、インドにあるPiramal Healthcareという製薬会社です。インドは、他の国と違って医薬品の特許制度が異なり、多くのジェネリック医薬品が販売されています。ジェネリック医薬品は、先発品と違って開発費が抑えられており、安価な値段で市場に供給されています。
インド製の医薬品は、世界的にみれば多くの薬が各国に供給されており使用されていますが、日本では承認されていません。そのため、アイピルは日本では承認されていない薬であるため、病院では処方されないのです。緊急経口避妊薬として、病院ではノルレボが処方されます。
アイピルを用いるべき危険な状況とは?
アイピルは「緊急経口避妊薬」とあるように、緊急時に使用します。性行為で避妊に失敗してしまい、望まない妊娠を避けるためにの薬です。妊娠は、精子と卵子が受精し、その受精卵が着床することで、発生します。避妊の考え方は「精子と卵子が出会わないようにする」と「受精しても着床させない」の2種類に分かれるのです。
一般的に使われる避妊は、コンドームの使用です。ラテックスの膜によって、女性器の中に男性の体液が入らないようにするものです。正しい使用をすれば手軽に行える避妊方法ですが、失敗率も高いため、万全なものではありません。
特にコンドームは、破れたり外れたりすることもあり、避妊に失敗する可能性が高いです。確実に避妊するためには、性器が触れ合う時点でコンドームを着用していなければなりません。精子は、射精によって放出される精液のみに含まれていると思われがちですが、その前段階のカウパー腺液にも含まれています。このため、避妊具をつけずに、女性器に男性器を挿入した時点で、妊娠の可能性が発生します。例え、女性器の外に射精したとしても、妊娠する可能性があるのです。
妊娠というプロセスから見れば、女性器に男性器を入れた時点で、妊娠の可能性があります。実際に強制性交罪では、射精は関係なく、相手の合意がなく男性器の挿入を行った場合に罪に問われます。
一方で、女性器に男性器を挿入しなくても、女性器周辺に精液が付着しても妊娠の可能性があります。生理中の性交で妊娠する可能性はゼロではありません。
このため、望まない妊娠を避けるためには、女性側では低用量ピルなど経口避妊薬を使うことはあります。他には、男性が射精を伴うような濃厚な接触は避けることが大切です。
女性の妊娠の可能性を持ち出せばきりがありません。また、性行為のたびにアフターピルを使用するのは身体に悪いです。そこで、アイピルを使わなければならない状況としては、女性器の中に精液が進入した場合などに限定すべきでしょう。よくあるパターンとしては、コンドームが破れたり、外れてしまったケースが考えられます。また、避妊道具なしに性行為を行った場合も、妊娠の可能性が高いです。
妊娠を望まない場合には、性交後にアフターピルを服用し、妊娠を阻止しましょう。アフターピルでは、排卵を抑制するだけでなく、子宮頸管の粘液の性質を変化させて、精子や卵子が出会うのを阻止できます。また、子宮内膜を変化させて受精卵が着床するのを防げるのです。
ノルレボとアイピルの違いはなに?
ノルレボとアイピルの違いは、製薬会社と日本で承認されているかどうかです。
日本で処方される緊急避妊薬として使われているのは、ノルレボです。一方、アイピルは個人輸入代行サイトなどから購入しなければ、入手できません。
ノルレボとアイピルの共通点は、妊娠の可能性がある性行為を行って、72時間以内に使用することです。精子の活動期間や実際に着床時間、薬が効果を発揮するまでの時間を考慮すると、72時間以内の服用が要されます。
日本では、以前は中用量の女性ホルモン剤を2回復用するヤッペ法が使われました。しかし、身体への負担が大きく、現在では1回で済ませることができるノルレボが使われています。
ノルレボは、2011年に承認されています。黄体ホルモンのレボノルゲストレルにより、排卵抑制作用と子宮頸管の粘液を変化させて精子が卵子に出会うのを阻止し、また子宮内膜の変化させて受精卵の着床を防ぐのです。
このプロセス自体は、一般的な経口避妊薬と同じです。ノルレボの場合には72時間以内の使用で84%の妊娠阻止率があるという臨床試験の報告があります。はやく使用すれば阻止率は高まり、24時間以内であれば95%とされます。
なお、緊急経口避妊薬以外でも、レボノルゲストレルは使われています。2007年には、子宮内避妊用具(IUD)の成分として使われているのです。IUDは、レボノルゲストレルが徐々に溶け出すことで、約5年間の避妊が可能となります。
また、低用量ピルでも、レボノルゲストレルが配合されている医薬品があります。このように、レボノルゲストレルは黄体ホルモン薬として広く使われています。
しかし、日本で承認されているアフターピルでは、ノルレボのみです。また、医師が処方しなければ手に入れることができず、病院に行く必要があります。費用も薬そのものが高価であるほか、診察料や検査費用が発生するのです。おおよその費用は1万円から2万円と言われています。
一方で、ジェネリックであるアイピルは、日本では承認されていません。しかし、海外から安価で購入することができます。ノルレボと異なり、開発費が掛かっていないことなどが理由です。
ジェネリックとはいっても含まれている成分は同じです。そのため、効果に関しても変わりありません。正しく使用することで、ノルレボと同じ効果が得られます。しかし、日本では承認されていないので、病院で購入することができません。したがって、海外から個人輸入することになります。
個人輸入する場合には、到着までの1週間程度掛かります。妊娠の可能性がある性行為が発生してからでは、時間的に間に合わないので、常備薬として予め購入しておく必要があるのです。